ビットコイン、8万3000ドル台で攻防…米長期金利急騰や仮想通貨の法整備遅延が逆風
米10年債利回り、5.365%まで上昇…ビットコインは24時間で2.5%下落
レバレッジ5億5000万ドルが清算…クラリティ法が上院で暗礁に乗り上げ、CFTCは独自規制を推進
ビットコインが8万3000ドル台で一進一退の値動きを続けている。米国の長期国債利回りが24年ぶり 3の最高水準へと急騰し、ドルも強含んだことで、仮想通貨市場に対する警戒感が強まった。米国では、仮想通貨市場の規制枠組みを整備するための法案が上院のハードルを越えられなかった一方、監督当局が別途の規制策定に乗り出しており、制度化のプロセスにも関心が集まっている。
8日午前10時15分頃、グローバル仮想通貨価格追跡プラットフォーム「コインゲッコ(CoinGecko)」によると、ビットコインは8万3339ドルで、24時間前より2.5%下落した。直近24時間は8万5442ドルから8万2823ドルの間で取引され、ボラティリティ(変動性)が拡大した。
米国債利回り、24年ぶり最高水準…8万2500ドルの節目に注目
米国債利回りの急上昇は、足元で仮想通貨市場を圧迫する主な要因に挙げられている。米10年満期国債の利回りは7日の取引時間中に5.365%まで上昇し、2002年4月以来の高値を記録した。30年債利回りも5.732%と、2002年5月以来の最高水準に達した。ドルインデックスが102台を回復したことも、仮想通貨の投資家心理に負担となった。
中東地域の緊張の高まりも市場の警戒感を煽った。ホルムズ海峡でのタンカー攻撃の報が伝わり、原油供給の滞りやインフレ加速に対する懸念が浮上した。国債利回りの上昇と地政学的リスクが同時に表面化したことで、リスク資産に対する投資家の警戒感も一段と強まった。
価格調整の局面では、レバレッジ(証拠金)取引を行う投資家による強制ロスカットも相次いだ。仮想通貨専門メディア「コインドゥスク(CoinDesk)」が「コイングラス(Coinglass)」のデータを引用して報じたところによると、ビットコインが8万4000ドルを下回って下落する過程で、直近24時間に約5億5000万ドル規模の仮想通貨レバレッジポジションが清算された。借入金を活用した投資家のポジション整理が進み、値動きが一段と荒くなった。
仮想通貨マーケットメイカーの「ウィンターミュート(Wintermute)」は、ビットコインの短期的な下値支持線(サポートライン)として8万2500ドルを提示した。この水準を維持できればこれまでの上昇トレンドを継続する余地があるが、下抜けた場合はさらなる売り圧力が強まる可能性がある。
米クラリティ法、上院の壁越えず…CFTCは独自規制を推進
市場価格の短期的な調整とは別に、米国では仮想通貨の法制化(メインストリーム化)を巡る不確実性がくすぶっている。
米上院は昨年(※文脈により直近)9月15日、仮想通貨市場構造法案である「クラリティ法(CLARITY Act)」の審議を進めるための手続き上の採決で、可決に必要な60票を確保できなかった。民主党議員全員と共和党議員4人が反対票を投じ、法案の審議が中断された。
クラリティ法は、仮想通貨の法的性質に応じて証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を明確に区分し、仮想通貨取引所および関連事業者に対する連邦レベルの規制枠組みを構築する内容を盛り込んでいる。
しかし、ドナルド・トランプ大統領の仮想通貨関連事業を巡る利益相反の懸念や、金融業界からの要望事項などをめぐり、与野党間で溝を埋めることができなかった。民主党は公職者による仮想通貨の保有および取引に対する制限を強化すべきだと主張したが、共和党との合意には至らなかった。
議会での法整備が停滞する中、米国の監督当局は既存の法律に基づいた規制整備を進めている。CFTCは5日、個人投資家によるレバレッジ・証拠金ベースの仮想通貨取引を監督するための事前規則制定予告(ANPRM)を発表した。
CFTCは、仮想通貨取引所が連邦の監督体制に登録できる独自の取引市場区分を設け、市場操作の防止や準備資産の証明といった監督要件を検討している。ただし、新しい規則が正式に決定・施行されたわけではなく、仮想通貨の現物取引全般に対する包括的な監督権限を獲得したわけでもない。
11月の中間選挙を控えた米国…仮想通貨の制度化の行方に注目
仮想通貨の法整備を巡る対立は、来る11月の米中間選挙を控え、政治舞台にも飛び火している。
ロイター通信は7日(現地時間)、米国の仮想通貨業界がクラリティ法の上院採決見送りを受けて、政治献金戦略を見直していると報じた。業界は直近の2度の選挙で、仮想通貨に好意的な民主党および共和党の候補者を支援するために3億ドル以上を投じてきたが、法案審議の過程で両党のスタンスが分かれたことから、従来の超党派的な支援戦略を維持すべきかどうか苦慮している。
米国は昨年、ステーブルコイン規制法である「ジェニウス法(GENIUS Act)」を制定するなど、仮想通貨の制度化を推進してきた。しかし、仮想通貨取引全般の監督体制を整えるクラリティ法は上院で進展が見られず、CFTCの新たな規制案も依然としてパブリックコメント(意見公募)の段階に留まっている。
短期的には、米国債利回りとドルの動向、レバレッジの清算規模が仮想通貨価格に影響を与えるものと予想される。米国の仮想通貨制度化がどのような方向に向かうかは、議会による市場構造関連法案の再提出の有無や、CFTCの次なる規則制定プロセスの行方にかかっている。






