英国でEP622取り消し・米国で関連特許の無効相次ぐ…オランダでは有効・侵害認定
MSD「特許は世界的に無効」と反駁…判決後もメルク株は0.6%上昇
アルテオジェン(196170)の皮下注射(SC)製剤プラットフォーム「ALT-B4」を巡るグローバル特許戦で、米国や英国とは異なる判決が下された。英国でハロザイムが自ら取り消しに同意した特許をオランダ裁判所が有効と判断し、ALT-B4を適用した「キイトルーダSC」がこれを侵害していると認めたためだ。
米国では、MSDがハロザイムのMDASE関連特許を相手取って起こした無効審判で相次ぎ勝訴している。欧州でも、英国とオランダが同じ「EP622」特許を巡り異なる結論を下すなど、国別の特許訴訟の結果が明確に分かれた。
8日、ハロザイムや外国メディアなどによると、オランダ・ハーグ地方裁判所は、MSDがハロザイムのMDASE関連欧州特許「EP 2,797,622(EP622)」を侵害したと判断した。MSDが提起した特許無効の主張も受け入れなかった。
これにより、MSDの欧州許認可保有法人であるMSD BVに対し、オランダをはじめ、ベルギー、デンマーク、フランス、アイルランド、イタリア、スウェーデン、スイスなど8カ国でのキイトルーダSCの製造・販売、輸入・在庫保有などの停止命令が下された。
英国で取り消されたEP622…オランダでは有効・侵害認定
今回の判決が注目を集めているのは、対象となったEP622が英国ですでに取り消された特許である点だ。英国高等裁判所の判決文によると、MSDはEP622の英国特許が無効だとして訴訟を提起し、ハロザイムはこれに対抗して特許侵害を主張したが、ハロザイムが今年5月にEP622の英国特許の取り消しに同意したことで、同特許を巡る英国内の紛争は終結していた。
一方、オランダ裁判所は同じ欧州特許であるEP622のオランダ指定特許について有効性を認め、ALT-B4を適用したキイトルーダSCがこれを侵害していると判断した。一つの欧州特許を巡り、英国ではハロザイムが取り消しに同意した一方、オランダでは有効性と侵害の双方が認められる相反する結果となった。
国別の判断が分かれた背景には、各訴訟で扱われた争点や立証プロセスの違いもある。英国ではEP622が取り消されたことで同特許の有効性・侵害判断が最後まで行われなかった一方、オランダ裁判所は本案において特許の有効性とALT-B4の侵害有無を判断した。
欧州特許は各国で効力を持つ指定特許に派生するため、同一の特許であっても国別の裁判所の判断が分かれることがある。ただし、米国で関連特許の無効決定が相次ぎ、英国でEP622が取り消された状況下で、オランダが有効性と侵害の双方を認めたという点で、今回の判決は最近の特許戦の動向とは明確な違いを見せた。
米国ではMSDが連勝…ハロザイム特許が相次ぎ無効に
米国特許審判部(PTAB)では、MSDがハロザイムのMDASE関連特許を相手取って提起した無効審判で連勝している。PTABは、ハロザイムの関連特許について、書面記載要件や実施可能要件などを満たしていないとの理由で、審判対象となった請求項の特許性を相次いで否定している。
今月も「PGR2025-00052」事件において、ハロザイムの米国特許第12,264,345号の請求項1〜17の全体について特許性がないとする最終決定が出された。これに先立ち、他のPGRでも同様の決定が続いており、米国ではハロザイムの関連特許が無効と判断されるケースが相次いでいる。
オランダの判決は、米国や英国での流れとは逆行するものである。特に、特許の有効性だけでなく、ALT-B4を使用したキイトルーダSCの侵害まで認め、8カ国を対象に差止命令を下したという点で、MSDとアルテオジェンにとっては不利な結果となった。
MSDは即座に反駁…判決後もメルク株は0.6%上昇
MSDは今回の判決に即座に反発した。同社は、オランダ裁判所の国境を越える差止命令の決定に強く同意しないとし、ハロザイムの特許は世界的に無効であり、侵害の主張にも根拠がないとの立場を表明した。現在、控訴を含めた対応手続きを検討している。
判決後もメルクの株価に大きな動揺は見られなかった。7日(現地時間)、ニューヨーク証券市場でメルクは前取引日より0.60%高の142.79ドルで取引を終えた。勝訴したハロザイムの株価も約2%上昇した。欧州の8市場を対象に差止命令が下されたものの、当日の両社の株価の動きは限定的だった。
欧州内での特許紛争は継続している。MSDは複数の欧州諸国でEP622の有効性を争っており、ドイツをはじめとする主要市場でも関連手続きが進行中である。オランダの判決についても、今後の法的手続きが残されている。
今回のオランダ判決はアルテオジェンとMSDにとって不利な結果ではあるが、これをグローバル特許戦全体の結論と捉えるのは時期尚早である。米国ではハロザイムのMDASE関連特許に対する無効決定が続いており、英国では同じEP622が既に取り消されている。判決当日のメルク株も0.6%上昇しており、市場の反応は限定的だった。同一特許を巡る国別の判断が分かれているだけに、オランダでの今後の手続きや欧州各国で下される判断を引き続き確認する必要がある。



-4-800x600.webp)



