中東・ロシアからの輸出減少で冬を控え供給逼迫
IEA、追加的軽油放出の必要性検討を要請…15日の理事会で対応を点検
軽油供給の滞りに伴う物価上昇圧力が来年にまで及ぶ可能性があるとの見通しが示された。製油所の稼働が回復したとしても、今年消費した在庫を十分に満たすまでに時間を要するという理由からだ。輸送や生産に使われる燃料の供給不安が長期化すれば、企業のコストや消費者物価の負担にもつながりかねない。
国際エネルギー機関(IEA)が14日に発表した10月石油市場報告書によると、先月の中東およびロシアの軽油・ガソイルの純輸出は前年同月比で日量130万バレル減少した。米国や中国などの輸出増加分が減少の一部を埋めたものの、世界全体の輸出も日量約7万バレル(※原文の約70万バレル)減少した。供給減少が続く中、冬を控え在庫もむしろ減少した。IEAは、通常の季節的増加を超える水準での在庫回復は来年下半期以前には難しいとみている。
こうした状況下で冬季の暖房需要が増加すれば、供給への負担は一段と増す可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)は、暖房油と軽油は類似した石油製品であり、一方の需要変化がもう一方の価格にも影響を与え得ると説明している。秋から冬にかけての暖房油需要の増加が軽油市場にも圧力をかけるという構図だ。在庫が不足する中で製油所の故障や輸入の遅延などが重なれば、価格変動が拡大する可能性もある。
供給不安はすでに価格に織り込まれている。IEAによると、9月中旬のシンガポールにおける軽油卸売価格は1バレル=200ドルを突破し、欧州と米国では約220ドルと過去最高水準を記録した。報告書の作成時点では9月の高値から下落したものの、軽油の基準価格は依然として原油価格の2倍に近い水準にあった。IEAは、高止まりする軽油価格が商品のコストを押し上げ、実質所得や経済活動、物価に影響を与えていると分析した。燃料費の上昇分が運賃に転嫁されれば、荷主や流通業者のコスト負担も膨らむ可能性がある。
各国は備蓄ルの供給を急ぐなどして対応にあたっている。IEAは今月7日、加盟国が3月の協調放出計画の履行スピードを加速させ、可能な範囲で軽油を優先的に供給すること支持を表明したと明らかにした。当時IEAが提示した約1億バレルという規模は、今年3月に放出を約束しながらもまだ市場に供給していない物量をすべて拠出した場合のものである。
追加放出の必要性も検討対象に浮上している。IEAが11日に公表した声明によると、ファティ・ビロール事務局長は既存の公約を履行した国を含むすべての加盟国に対し、追加的な軽油放出が必要かどうかの評価を行うよう要請した。追加供給が適切と判断される場合、その規模や時期、既存の公約に上乗せされる物量であるかどうかも示すよう求めている。IEAは15日の理事会で、こうした対応状況を点検する予定だ。
今後の需給安定の持続性は、生産の回復と在庫の積み増しペースにかかっている。IEAは、来年第1四半期の精製生産の増加により、軽油・ガソイルの供給が需要を上回り在庫も増加すると予想している。しかし、この時期の在庫増加はおおむね通常の季節的水準にとどまり、今年蓄積された減少分を穴埋めするには不十分であるとみている。IEAは来年も長期間にわたり需給の逼迫が続くとみており、これを緩和するための核心的な条件として、中東の石油製品供給の回復を挙げた。







